令和5年8月27日付 神戸新聞 日曜日朝刊「カルテQ&A」に記事掲載されました。
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8月27日付 神戸新聞「カルテQ&A」

■ 腰痛に対する神経ブロック治療について
腰痛の多くは腰椎及びその周辺組織になんらかの障害が起こることで発症すると考えられていますが、腰痛の原因はさまざまで、驚くことに半数以上は明確な原因が不明であると言われています。生活習慣やストレスなど心の状態が、大きく影響している場合があります。実際のところ、多くの人が原因不明の腰痛で苦しみ、世の中には、たくさんの腰痛治療法が溢れかえっています。手術で治る腰痛は、その中のごく一部に過ぎません。
神経ブロックとは、麻酔の技術を駆使して行う痛みの治療法で、痛みの原因部位に、麻酔薬や炎症止めの薬を注入し痛みを緩和する治療法です。痛みが一時的にでも緩和されれば、注射部位に痛みの原因があると診断する事ができ、痛みの原因診断の一助にもなります。
麻酔薬といえば、一時的な痛み止めを連想される方がほとんどですが、1回の神経ブロックで、もしくは繰り返し行う数回の神経ブロックで、痛みが長期にわたり緩和され、すっかり治ってしまう場合も珍しくありません。神経ブロックは一時的な痛み止めではなく、個人差はあるものの、より持続的な疼痛軽減効果が期待できる痛みの根本治療なのです。
この神経ブロックの長期にわたる効果は、痛み悪循環の停止、神経炎症の抑制、神経再生の促進、神経回路の再構築等のメカニズムが考えられています。
神経ブロックは治療効果が高い分、リスクや合併症も存在するため、専門的プロフェッショナル(麻酔科医、疼痛管理専門医)の適切な評価と管理の下で行われることが重要です。
神経ブロックで全ての痛みが消えるわけではありませんが、手術治療よりも体への負担は少なく、種々の治療で治らない痛みの場合、試してみる価値のある治療法です。